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 近畿の実力私学50選 
学校法人 愛徳学園

愛徳学園中学校・高等学校

松浦直樹 校長先生へのインタビュー


小規模私学でリーダーシップを育成

きめ細かな対応で生まれる活力

〔23.9.28号より全文掲載〕

―― 今春、校長に就任されました。

松浦: 校長に就任してほぼ半年になりますが、小さな所帯ならではの豊かな魅力を日々感じているところです。

 私自身は、これまで比較的規模の大きな学校も経験してきました。生徒数が多ければ学校全体に活力が感じられますし、コース制も導入しやすいでしょう。

 一方、本校のように“超”少人数教育という表現がぴったりの小規模校では、生徒のために色々なアプローチを工夫でき、敢えてコース制を取る必要もありません。学校全体で生徒が目指すコースを支援しているのです。これこそが少人数教育の最大のメリットであり、本校の一番の特色と考えています。

 少人数ということは、何か役割を担うときも例えば40人のうちの一人ではなく15人のうちの一人だったりするわけですから、一人の責任はそれだけ重くなります。

 こうした中、一人で複数の委員会に所属する場合も出てくるのですが、責任感やリーダーシップも養われていくようです。これも少人数の成せるワザかなと思っています。

―― 愛徳学園は、小学校から高校までを併設しておられます。中高では、基礎期から発展期まで2年ごとに3つのスパンでカリキュラムを展開されていると聞きますが。

松浦: 大学合格実績など、一般に保護者の方々の関心は高く、本校でも大事な部分と捉えています。ただ、そこばかりに光を当てれば折角の中高6年一貫教育が“学力育成のための6年間”に終わりかねません。

 サイズが小さいからこそ一人ひとりを大切にし、ダイナミックなカリキュラムも展開できる、つまり少人数であることと6年一貫教育が上手くリンクしており今後も引き続き、人間教育、全人教育のための一貫教育をしっかり実践していくことが大切だと思っています。


第二外国語としてスペイン語


―― 中学2年からスペイン語の授業を必修とされていますが。

松浦: 大学入試だけを目標とするならば、スペイン語の代わりに英語を1時間増やせばよいのかもしれません。

 しかし私たちは、生徒たちに様々な教育のチャンスを提供したいとの思いから、標準単位数を上回る週6時間の英語の授業時間数を確保した上でスペイン語にも取り組んでいます。

 現在、中2から高1までのすべての生徒が第二外国語としてスペイン語を学んでおり、ネイティブのシスターも授業を担当しています。

 さらに中1から英語と数学では習熟度別授業を展開し、つまずいているところがあればすぐに丁寧な対応をしています。

 高2・高3の2年間は国公立大学の受験に必要な5教科型も含め、実に29単位42科目という多彩な選択科目の授業があり、場合によってはマンツーマン授業も可能となります。



自分も他者も大切に


―― 最後に宗教教育について。

松浦: 私は、宗教は「生き方」だと考えています。信仰を強要するのではなく、「生き方」「人間のあり方」として学び、真理を追求し、人生哲学を学ぶ場だと捉えています。

 本校は、今から200年ほど前、すなわちナポレオンの時代の19世紀初頭、スペインの聖女ホアキナが創設した愛徳カルメル修道会を設立母体としています。

 その根本には、2000年前にイエス・キリストの示された哲学があり、彼の「生き方」に学び、日々の生活の中でそれを体験、実感できればと思っています。

 本校では「Rainbow Program」を通して、社会で役立つ7つの力を養っています。7つの力とは「体力・忍耐力」「思考力」「コミュニケーション力」「英語力」「問題発見・解決力」「異文化理解力」「プレゼンテーション力」を指し、ICTの利活用をベースとしてこれらの力を育成します。これら7つの力はいずれも宗教教育と連動したものといえます。

 本校の生徒は素直で、身だしなみやふるまいには落ち着きを感じます。

 先日、外出先から学校に戻ってきた際、校舎の入り口で、下校する中学生たちと一緒になりました。私の顔を見るなり一人の生徒がサーッと走ってきてドアを開け「どうぞ」と声をかけてくれました。生徒たちのそうした自然なふるまいには、いつも感心させられます。

 同時に、カトリックに基づく全人教育の取り組みが、生徒たちの人間形成に着実につながっていることを大変嬉しく感じています。


―― 本日は、ありがとうございました。<文中敬称略>


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